夏が、またいってしまった。いつも夏は、ある日はっきりと。今年のそれは、なんとなく今日だった。夏らしい夏ではなかったのかもしれないけれど、そうはいっても暑いし、そうはいっても水着は着た。7月に入った頃には、今年は、あまり夏らしいこともできない覚悟で、息子のために家で使えるプールでもいよいよ買おうかと相当悩んだのに、結局、迷いすぎているうちに夏はいってしまった。小3ともなると、足を浸すレベルの水深には満足いかない様子で、週末に行った大磯ロングビーチで、念願の飛び込み台をエンドレスループしている彼を見て、そりゃそうだろう、と納得した。検索してみたプールのうち、大きめのプールは、水溜めだけでも何時間もかかりそうだったし、コストが相当かかる上に、台風がきた日には即座にたためる自信もなく..のうちに、夏はすぎていった。ものを買うときに、ものすごく悩むときと、直感で買うときがあって、プールは直感ではとても買えず、悩むわりに、毎夏なんとなく妄想のアイテムで終わる。
夏のベランダプールといえば思い出すことがある。以前都内のマンションに暮らしていた時に、夏に台風のあった翌朝、晴れたベランダを見たら、水面がキラキラ光る可愛いプールが舞い降りてきていたのである。どうやら、お孫さんのためにベランダにプールを出していた上階のご夫婦のものが、そっくりそのまま、私のベランダに風で飛んできて着地したのだ。ずっと前からそこにあるかのような光景に笑みがこぼれ、しばらく後にピンポンといらしたご夫婦と3人で、えっさえっさとプールを担ぎながらリビングを横切る際、不思議な表情で吠えていた2匹の犬まで思い出す。プールは飛ぶものである、そうインプットされている私には、やっぱりプールをポチっとはできない。フライングプールの呪縛。。
