東京国立近代美術館で開催中の「フランシス・ベーコン展」に行ってきました。”ピカソと並ぶ美の巨匠、没後アジア初の回顧展”というキャッチ。これほど一気に観たのは当然初めてでしたが、身体の描き込み方や、魂を丸裸にするような顔の形相、存在が消えかかった生き物(人?動物?)、身体の至るところに、まとわりつく作品だった。描く対象の魂を抜いたり、別な何かを入れたりできる力があるような、得体の知れない惹き込まれ方なのです。でも、気持ち悪くなく、むしろ、きれいな絵を見たりするより、しっくりくる部分もあったりするのです。 1920年代のピカソに影響されたとか、それよりも、ファン・ゴッホを誰よりも重要な存在に思っていたとか、20代30代はインテリアデザイナーとしても活躍していたとか(それが空間表現に時々見られる)..あぁ、そういうことなのか?と絵を観るのも、また興味深い点あり。 それにしても、彼のアトリエ、ジャンキー&メッシー!(苦笑)ここで、あんな、すっきり削ぎ落としたような作品が生まれるのか??という感じ。マリリン・モンローから、チンパンジーまでの雑誌の切り抜きの写真を、至る所に張っていたそうです。(身体の動きなどを研究するため)同性愛者でもあった彼、の彼を描いたものなども、愛と憎悪に満ちた表情に、バックは爽やかにすら感じられるピンク。やっぱり、ピンクかなぁ。(?) 彼は、ダミアン・ハーストなどの、造形美術家や、デヴィット・リンチやベルナルド・ベルトリッチ監督などにも影響を与えている人物です。彼の発していた言葉も、会場のあちこちで触れられます。「偉大な芸術は、人間の置かれている状況が、いかに脆いかを思い出させてくれる」というのが、印象的だった。-5/26(日)まで。 今週の『atelier nova』 内、Reading Portraits という朗読のコーナーで、BACON とりあげます!