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南桂子展 船の旅

 日曜日にNHKの『日曜美術館』を朝見て、そのまま午後に『南桂子展 船の旅』に行ってしまいました。(そういう人も多かったのか、結構混んでいた、)
 版画はもともと好きなのですが、南さんの銅版画の世界は、モチーフの鳥や木々のデザインが繊細で、でも可愛らしすぎず、醸し出される全体の空気感、計算されつくしたような微妙なバランスが好きです。一枚の作品の中に描かれるモノがシンプルで少なく、よく登場する少女の表情が淋しげなところが特徴でしょうか。
 好きな作品はいくつもあるのですが、「公園」と題された緑で統一された作品も、秀逸なデザインだなぁ、と感動しました。ポストカード本の中にあったので、購入。(↓)

 南さんは、戦後、壷井栄さんに師事して童話を書いていたそうで、掲載されていた新聞も会場にありました。昨年、大量に南さん作の童話の原稿が見つかったそうで、今回は、一部が初公開とのことでした。
1953年の冬、船でフランスに渡ったそうです。その中で書き綴られた詩が「船の旅」。想像を絶する、未来の見えない長い船旅だったことと。今回、南さんの作品の奥に感じられる「何か」が、やりたいことに向かっていく時の強靭な意志と、すべてを求めない潔い諦めの下にあることを感じました。50点ほど展示。よかったですよ。
『南桂子展 船の旅』 ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションにて 7/31まで。

p.s: すぐ近くの、水天宮通り沿いのロイヤルパークホテル、1Fに授乳室あり。とても便利でした。

都会の星

 今日は、写真展『都会の星』(銀座4丁目交差点、sanai ビル9F)に出かけてきました。(しょうごろうさん、オススメありがとうございました!)帰りに看板を撮ったものの、全然良さを伝えないので、却下。左の写真は、特設サイトから使わせて頂きましたが、これだけでもおわかりのように、都会の街の灯りと空の星の明かりが一緒に写った写真は、とても惹き込まれるものがありました。夜空という背景が、雲が流れるぐらいのおとなしい背景ではなく、実に躍動感に満ち溢れたものだということを目の当たりにできた気がしました。やっぱり、私たちは、ずいぶんと美しいところに暮らしています。
 東山正宜さん(写真)と石井ゆかりさん(言葉)、素敵なコラボレーションが繰り広げられていました。写真は圧倒的な吸引力を持ち、またそこに、星占いなどをご専門にされている石井さんによる控えめで考えられた言葉は、写真をさらに興味深いものにしていました。
 東京、大阪、奈良など、都会のランドマーク的存在の数々と星々の写真が49点。最後の方にあった「アナレンマ」という、一年間、大陽を同じ位置から記録すると、空に8の字を描く現象(初めて知りました)を写したものも、一風変わっていて、おもしろかった。(よく一年間、同じ時に撮り続けられましたと、それも感動)都会では、夜もあまり星は見えないと、どこかで決めつけてしまっている節があるかもしれないけれど、なかなかリアルに想像しずらいところがある頭上の星々、今回の写真展を見て、これからは自分の中でもイメージができそうです。ちなみに、昔の船乗りの人は、昼間でも金星を見ることができたとのこと。豊かであり知的です。星は時間で、星は夢で、星は自分たち。どこか軽やかな印象で、観てよかった写真でした。(展覧会は 7/29 まで!)

南部高速道路

三軒茶屋の(キャロットタワー)シアタートラムで公演中の『南部高速道路』を観てきました。長塚圭史さんが構成・演出。(原作は、アルゼンチン人のフリオ・コルタサル)
渋滞に巻き込まれただけのはずが、その渋滞が永遠に終わる気配もないままに、季節は一つ二つと過ぎ…その渋滞のまま、前後の車でコミュニティができていったり、人間関係が生まれたり…それが日常化していく不思議が描かれていた作品でした。演じる皆さん、しっかり骨のある演技で、素晴らしかったです。(真木よう子さんや梶原善さんもご出演でした)
原作のコルタサル氏の作品のテイストが、不安と緊張感のある幻想世界、ということらしいのですが、長塚さんの味付けで、ぐっと日常に近づけるエッセンスてんこもり。ありえなさそうな事なのに、いやあるかも、と舞台を観ているうちに思っていた。日常を、時代を丁寧に拾って、見た目、音、匂い..色々な感覚の情報から、作品に昇華されているのはさすがでした。やぱり、「斬新な何か」より「何気ない日常感」というのが、本来、一番複雑なんだろうからね。それを、逆に構築するには、細かい作業の積み重ねと思われる。おもしろかった= 緊張感もあって、適度に疲れた!(笑)
 そうそう!実は、写真右のチラシ、下の方に目をやると…お、私の名前が!(写真だと小さくて見えないかな^-^;)まさか、名前が書いてあるとは思わないほど、一瞬の声の登場なのに、こんなに大きく書いてあって、最初気づかず!(ありがとうございました)長塚作品にチョイ参加できて、私は嬉しかったー。(公演は、この週末・日曜まで)

生・音

先週、塩谷哲さんと村治佳織さんのライブへ行ってきました。塩谷さんのピアノと村治さんのクラシックギター、ソロ/デュオと、いずれも、とても気持ちのいい音に、体が喜ぶ喜ぶ。妊娠中も「胎教胎教!」とライブもよく行きましたが、さすがに生まれてからまだ同行はできず。でも、たっぷりいい栄養を帰ってからあげられました。塩谷さんの天才的な自由さと村治さんの深く暖かい律儀さの音の混ざり合いは、とても面白く届きました。
 お二人にもお会いしましたが、お元気そうでなによりでした(^-^)。MCで、村治さん、ここ数年、梅雨の時期からの数ヶ月、スペインで過ごすことにしているそうです。なんともうらやましぃ!(今回、後半は、スペインに関する曲を中心にした演奏でした)塩谷さんは、4月にはBLUE NOTE TOKYO でライブあり。こちらは、SUPER SALT BAND とのライブ。塩谷さんのピアノ、ジャズフレーバーでたっぷり楽しめそうですよ。

左官・挟土秀平さん個展

この間の週末、左官職人の挟土秀平さんの個展を観に、銀座の兜屋画廊へ行ってきました。
挟土さんには、お仕事や個展にお邪魔した際などにお会いしているのですが、左官業にとどまらず、様々な言葉を持つ表現者で、いつもお目にかかるとエネルギーを感じます。
 相変わらずロマンティックで、かつ、”ティック”を外すことにも貪欲に、現実の形にしていこうというロマンのあるかっこいい人だと私は思っています。

以前、Bunkamura での個展は、挟土さんが、土や草、また、風、水、光、といった、とにかく自然のもので表現したものに、言葉を添えた個展が本当に素晴らしかったのですが、泥の詩人!挟土さんの言葉を集めた写真集(写真も挟土さん)も出ています。色や光、はたまた、それらをつなぐ時間に対する半端なく繊細で、壊れそうな感覚で紡がれていました。

今回の個展では、惑星のように見えるもの、デザイン的なもの、震災後に表現したものなど、様々な想いで生まれた作品たちがありました。漆で作った花びらなども見物。

見る側の深入りを試すような作品群。

今週末、3/25(日)まで。(upが遅くなってごめんなさい!ご興味ある方、ぜひ)
銀座 兜屋画廊 
挟土秀平さんサイト 

3.11の表現

  雨の月曜日、銀座は空いていた。ニコンサロンで開催中の石川直樹さんの写真展『やがてわたしがいる場所にも草が生い茂る』を観に行く。昨年の震災の時、すでに2日後には現地入りしていた石川くん。その時から何度か訪れての撮影、またそれ以前から、彼がライフワークにしてきている日本各地の儀礼や祭。彼ならではの、ぐっと見入る表現があった。生きるせつなさ、生きる熱さ、写真という静けさの中に。

 東京での開催は明日まで。(3/22〜3/28 大阪 Nikon Salon)
 ニコンサロンでは、連続企画展 Remembrance 3.11を今月やるようです。チャンスあれば、他の方のもぜひ観に行こうと思う。