『ワウシュヴィッツ』

 これは、犬の殺処分の問題を描いたものです。昨年末「もし読んでみていいと思ったら、本の帯にコメントを寄せてもらえませんか?」ということを言って頂いたのをきっかけに知った1冊です。その場で、絵本のゲラを読ませて頂いたところ、胸が文字通り締めつけられるような痛みを感じ、伝えることの重要性を思ったし、番組でも今週ご紹介させて頂きました。
 例えば、それは、2008年には8万4264頭殺処分され(保健所では1日に約230頭)、主に即日「処分」の窒息死。(即日処分、って、人間側が言われたら・・?) この、想像を絶する生き物に対する息苦しさが、静かに、でも的確に「絵本」という、心にじんわり染み込む形で表現されていると思います。もともと、作者の吉川愛歩(あゆみ)さんは、ご実家がペットショップを営んでいた時期があって、その頃の蓋をしたいようなツライ思い出や、現実を知ることにより、書かれたそうです。
 日本では、引っ越しをはじめとする住宅事情、また気軽に飼い始めばかりに「飼い主」が「もうムリ」と保健所に連れて行くことが、非常に多いそうです。世界を見渡したら豊かな国なのに、心はどうなのか、傾げた首がしばらく戻らない、キツイ現実。たしかに、犬との生活は、楽で楽しいことばかりではないことは、2匹と13年一緒に暮らしていて私も思いますが、でも、一緒にいると決めた以上、そして、もらっている素晴らしいことを思っても、最大に愛して守ろうとすることしかできません。
 番組でスタッフが取材し、ご専門の方にコメントをとってきてくれた中に「大人の犬を新しく家族に迎え入れるのは、なつかない、と思っている人が多いですが・・」という話あり、私も、そう思っているところがあったのですが、実際は、「大人の犬の方が、例えばサイズや性格もわかるし、実際に、子犬の頃からでなければなつかない、ということはない」そうです。先日、早朝の犬の散歩の際、やさしそうなご婦人とすれ違い、朝の挨拶をかわした時に、おそらく70代の彼女は「いいですねぇ、私も飼いたいのだけれど、今からではね、」とおっしゃった時がありました。もちろん状況はわかりませんが、大人の犬を飼うというのも、一ついい案ではないかなと思ったり。つまりは、私もこの先のチョイスにしようと思います。長くなりましたが、犬好きの方はもちろん、すべての人におすすめします。

『ワウシュヴィッツ』文:吉川愛歩 絵:矢原由布子  無双舎より発売 (¥1300)